第8章 あなたと
本当に寂しそうな顔をしてくれるので、なんだかありがたい。
わたしもここの一員と思ってもらえてたんだなぁ、と嬉しくなる。
「じゃあ最後なら、宅配、30分設定で行こっか!」
「えええええええ!絶対無理!!!」
30分設定は一番きつい!
件数多くなった時とか場所が遠いとこなんかは地獄だ!
今頃最後のリハーサル中かなぁ、と思っていると、
宅配中にちらほらeighterらしき人たちを見かけた。
良いなぁ…中には2日間とも行く人もいるんだろうなぁ…
今日は18時から開演だったかな。
次会えるのはいつだろう…。
「じゃあ、今までお世話になりました」
帰る前に2人に一声かける。
「あ〜おつかれ〜」
残念そうな顔をしてくれる。
「あ、これ、少ないですけど…」
制服を返しに行く時にまた持ってくる気ではあるけど、今日いる人たちだけでも…と菓子折を持ってきた。
「手作り?」
緋刈くんがにやにやする。
「ごめーーーん、市販〜w」
見たらわかる!って言ってみんなして笑う。
「じゃあ、いつか遊びに来ますね!」
ありがとう、ございました!
「長ーーーい」
助手席のお姉ちゃんがくつろぎだす。
「長いねぇ…」
絶賛渋滞巻き込まれ中。
あぁ、そろそろライヴ、終わってるだろうなぁ…なんていう時間。
「ヤッさんたちライヴ終わったかなぁ」
お姉ちゃんも同じことを考えていたご様子。
「でもほんっとすごい確率よねえ」
横で寝てたと思っていたお母さんが言う。
「何が?」
「すばやんたちと知り合ったことに決まってるでしょ〜?」
「不思議でしょうがないよね…」
信じられないことが自分にも起きるなんて考えたこともなかった。
「どうするー?お父さん。雫や霄があの人たちと結婚したら!!」
お母さんが運転席の方へ身を乗り出す。
「…どうもこうもないだろ」
「そうだよどうもこうもないよ」
なんてこと聞いてんの、お母さん。
「好きなら許すに決まってるだろ」
真面目な顔で答えるお父さん。
おとうさーーーーーーーん???!!!
「「何言ってんの?!?!」」
お姉ちゃんとハモッた。