第8章 あなたと
どういたしまして、とお母さんが笑いながら言う。
「あぁ、そうだ。明日の夜、お姉ちゃんも帰ってきてから初詣行こっか」
「うん」
明日もわたしは15時でバイトが終わる。
お父さんは去年の12月末頃から長期休み。
お母さんも明日までは休み。
お姉ちゃんは相変わらず朝から晩まで。
でも早番だからそんなに遅くならないはず。
その次の日は、
ついにライヴ!
「楽しみだなあ〜」
年に1回しかライヴで会えない。
それもここ数年、ようやく。
なかなかお金使うから…うっ
寝る前に、
そういえばすばるさんに会いたいなーなんて、誕生日に会って、まだ一ヶ月も経ってないのにそんなわがままが浮かんだ時に、連動するように思い出した。
「マフラー!」
っていうよりも、何て言ったかだ!
全然見当もつかない。
しかも、この間、『賭け、やから回答は1回のみな!』という脅し?があった。
別に他にマフラーあるからいいんだけど、負けず嫌いなせいか、どうせなら正解したい!という根性。
あの時、悪口ではないって言ってたからなぁ…
なんなんだろ…
ヒントはないし…。
わたしだったら何て言うかなぁ
髪の毛さらさらーとか?
いや、まぁそれはカラオケの時言ったけど…
わたしそんなさらさらってわけでもないし。
…寝てるからこそ、言ったっていうことなのかな?
それとも言ったら寝てたとか?
直前まで何の話してたっけ…
ライヴの合図は覚えてる。
にぎにぎダブルピースでしょ?
その、後、だよね?
うーーーーんんんんんんん
わ か ら ん
と、ベッドで寝転んで考えていると、いつの間にか寝てしまっていた。
「んー!最後だー!」
「あけおめー」
「はい、それ昨日も言った〜」
最後のバイトの日、例によって緋刈くんと。
責任者はなんと、中田さんではなく野森さん。
「野森さんとも最後だー」
「おはよー」
噂をしてると、野森さんが入店してきた。
「「おはようございまーす」」
「野森さーん、浪花ちゃん、今日で最後っすよ」
「え!嘘!まじでか」
「お世話になりました〜」と頭を下げる。
「うわー寂しくなるねえ」