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delivery start【KJ∞】

第8章 あなたと




「明日で終わりか~」


電車に乗り損ねはしたものの、無事家に帰りついた。


すっかり寒くなったので、
例のガチャピンを着てごろごろする。


「明日以降はちゃんと資格の勉強しなきゃだわぁ~」

わかってはいるけど気持ちがやる気にならないので、佐吉とごろごろごろごろ。


やる気がある時にしないと勉強しても頭に入らないからね!


「ほんっと、初めてのバイトだったのにつらかったねー」

と、お母さんがコーヒーを入れてくれたので席に着く。

浪花家はコーヒーと言っても、カフェオレのように牛乳を半分近く入れる。(わたしなんかはお腹が弱いからそうしないとお腹を壊す)


「そうだねぇ〜わたしだけがきついんじゃない!って思って三河に聞いたら『異常だよ!』って言われたのが懐かしいよ」


でも楽しかったんだよね。

なんだかんだで。
そりゃぁありえないようなミスとかあったけど、宅配が一番楽しかった。
いつも道とか覚えれないし、車の免許もないから、お父さん達が『あぁ、あそこはあの道で』とか話してるのを聞いて、すごいなーって思ってたけど、宅配をするようになったら、『ここどこー!』ってみんなに聞かれるようになってた。



わたしも成長してたんだなぁ…


「学校でもさ、わたし、ちゃんと成長してたんだなぁって思うこと、あるんだよ」

「例えば?」

「咬み犬をひとりでできるようになったとか。」

1年生の頃は先輩達がしてるのを見て、あんなのできるようになるかな?!って思ってた。


「基本、他の人がやってるとき先生がついてた犬とかもひとりで任されるようになったとか。」


思い出した。

去年の先輩達の卒業式、泣かないって思ってたのに、わたし泣いたんだ。

卒業する先輩達を見て、先輩達みたいにわたしは犬を扱えるようになるのかって。
教える立場にちゃんとなれるのかって。
不安で仕方がなかった。

「いつの間にか、自分も成長してるんだね、」

「お母さん達もびっくりよ~」

ふふっ、とお母さんが、「お母さん」の顔で笑う。
いつも、なんだかんだで友達かよ!ってくらいの仲良さだけど、
やっぱりお母さんはお母さんで、親心というものがあるから。

なんか、よく、わからないけど、

「ありがとうございます」

20歳になったからか、
無性に感謝をしたくなった。





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