第8章 あなたと
『ほんま?来てくれるん?』
冗談のつもりだったのに、返ってきた言葉は予想外だった。
「え、あの、」
『ほな落ち着いたら作りに来てもらうわ』
「?!ほ、本気で?」
『おん。霄ちゃんが言うたんやからな〜』
と楽しそうな調子で言う。
こんな方向に行くとは思わなかったけど…
「わっ、わかりました!!休みがかぶったらですね!!」
『おん。ほなな』
笑いをこらえるような声で電話が切れた。
…つい、勢いで休みがかぶったらなんて言ってしまった…。
冗談なんですけど!っていう暇が与えられなかったと言いますか…。
でも、バイトを辞めても、宅配ができなくなっても、
【お友達】は継続されるということが嬉しくてたまらない。
少しだけ、ほんの少しだけ不安だった。
バイトが終わったら、すばるさんとのこの関係も終わりなんじゃないかって。
普通に考えたら、バイト辞めるからってお友達も終わりなんてありえない。
バイトはバイト、友達は友達のはずでしょ?
でもこの友達は、いろんな意味で特別だから、
奇跡は一瞬だったりするから、
この関係も、もしかしたら…と不安だった。
でも今それが、安心していいことに変わったみたい。
ブブッ
『明けましておめでとう、霄ちゃん!今年はすばると一緒にこちらに帰ってきてくれるのを心待ちしてんで!!』
た、妙子さん…?!
どういうことですか、それ!
妙子さんからの衝撃的発言に驚いていると、電車に乗り損ねた___________________
収録と収録の合間に空き時間が出来たから、霄ちゃんに電話をかけてみた。
新年最初の。
そしたら、予期せぬ約束を取り付けることが出来た。
筑前煮を作りに来てくれることよりも、まだまだ霄ちゃんと連絡を取り合えること、会えることが嬉しくてしゃーない。
錦「横山くん、またすばるくんにやついてる」
横「…ほっといたれ…」
今年こそは、君と。
神様って奴にもお願いしてきたから、強気に、前向きにいってやる。