第8章 あなたと
年が明ける、カウントダウンが始まるちょっと前に、うさぎたちもケージから出して、みんなで新年を迎える準備をする。
「「「「さん!にぃ!いちっ、」」」」
「「「「おめでとーーー!!」」」」
わぁー!とみんなで手を挙げ、
「今年もよろしくお願いします〜」とペコペコし合う。
テレビ画面を観ると、ジャニーズの皆さんもペコペコしていた。
一人一人の顔が映し出される。
すばるさんが、映った時、
カメラに向かって指をさし、
口パクで、
【おめでとう】と言った。
にっこり、と、
あの、大好きな、
本物の笑顔で。
「うわっ!霄どうした!」
お父さんがわたしの顔に気付き、声を上げる。
目の前が、滲む。
止まらない。
涙も、
この想いも。
「
やっぱり、
好きだなぁ…っ!
」
人を好きになるって、
こんなに苦しいんだ。
初めて知った。
こんなにも、
伝えてはいけないことが
苦しいだなんて。
「明けまして、
おめでとうございます、
すばるさん」
遠くにいる、すばるさんへ
わたしは、
あなたのことが、
やっぱり、
好きです。
でも、どうか、
この気持ちが、
バレませんように。
あなたがわたしと同じ気持ちだなんて、
有り得るはずがないから。
カウコンが、終わったあと、
少しの空き時間にケータイを見てみると、霄ちゃんからメッセージが来ていた。
(新年一発目のメッセージや)
ただそれだけでも心が踊る。
『明けましておめでとうございます。
ちゃんと、おめでとうって言ってるところ、観れましたよ!
あと、わたしの勘違いだったらごめんなさいなんですけど、
最初の方で、にぎにぎピース、しました??』
ちゃんと観てくれてた、というのはもちろんやけど、最初の方にしたピースも気づいてくれていたことに、余計舞い上がる。
『せやで。気づいてくれてよかったわ』
と送る。
『良かった!勘違いだったらすごく恥ずかしいなーって思ってました!!
まだお話したいんですけど、正月からバイトがあるので寝ますね。バイト、セミファイナルです!』