第8章 あなたと
「えっ!霄ちゃん、バイト辞めるん??」
「おん。就活せなやからって。」
ヤスが、今日使うギターに触れながら驚く。
「あ〜就活かぁ〜そっかそっかぁ」
「しぶやん、寂しなるねぇ」
マルが言う。
「なっ、ならんわ!!」
「や、もうほんまに今更なんやねん、その虚勢は」
唇ぷるぷるヨコが鼻で笑うように言う。
「…いつでも連絡は取れるし、会おう思ったら会えるからええねん。」
学校の場所も自宅の住所も覚えた。
「なんやストーカーみたいやのう!」
ガハハッ、とゴリラもといヒナが言う。
「ストーカーってなんやねん!!しゃ、しゃーないやろ!!」
「せや!好きなんやからそら覚えてまうやろ!俺もすばるくんの実家にひとりで行けるで!!」
亮が眉間にシワを寄せ、噛み付くように言う。
「え、亮、俺の実家にそんな行くん」
初知り。
ハッ、と照れたように笑い、「そ、そんな行かんで?数えれるくらいや」と言う。
…なして照れた。
「まぁ、所有印みたいなプレゼントもあげたしね」
寝てたはずの大倉がムクリと起き上がり言う。
「は?!なんやそれ!」
ヨコが大倉の発言に食いついた。
「しょ、ゆういんとちゃうし」
確実にそのつもりやけど。
ただのネックレスやって思われるかも知らんけど、ほんまは所有印のつもりやってん。
「まだ」俺のでもないけど、何か主張したくて。
俺の色をつけとってほしかってん。
親父さんからもらったやつとは色が真逆やったけど。
「しかもそれ、しぶやんと思っていつもつけるー的なこと、言うてたんやろ?」
ふふっ、とヤスが笑った。
「アラッ!しぶやん、嬉しいねえ〜〜」
むふふっと笑い、ヤスの横に並ぶマル。
「…風呂で裸の霄ちゃんが俺のあげたネックレスだけつけてるんを想像したらあかんねんほんま。危ない。」
言った瞬間、頭をバシーーーンッと叩かれる。
「あほか!さすがに風呂は外すやろ!」
「ヒナ、多分、そこやないわ。突っ込む所。」
裸想像してるとこがあかんやろ、とヨコが言う。
「ほんま、重症やんな、すばるくん」
「亮ちゃんのすばるくん大好き病もなかなかやで」
そう言われて、うっさいわ!と亮が大倉にタオルをぶん投げ、地味に痛い!と大倉が叫ぶ。