第7章 隠しきれない。
「だっ、どぅ、わわ、ありがとうございます!」
胸の高鳴りに慌てながら言うと、どもってしまった。
「なんや寝起きやってわかりやすいどもり方しよって…
ほなぁ、帰るか?」
すばるさんが眉を下げながら言う。
そういえば、と周りを見てみると、お客さんはわたしたち以外にいない。
ま、まじか!
今何時よ!って思ったところで女将さんが来た。
「あら、起きたのね~大丈夫?」と心配してくれたので、急いで「大丈夫です!!」と答える。
丁寧に毛布を畳んで返そうとしたけど、そのままでいいと言われてしまい、結局そのまま返した。
「わたし、どれくらい寝てました…?」
はっきり言って、最後の記憶を掘り出そうにも今は頭が動かないようだ。
「ん〜30分以上」
きっぱりとすばるさんが言うが、中身はとても大雑把。
えっ、えっ、と挙動不審になるわたしを笑いながら見るすばるさん。
「行くで。今ならまだ日付またぐ前に帰れるから」
いそいそとすばるさんが支度を始めるのでわたしも急いで支度をする。
「すんません、ありがとうございました」と女将さんに言い、そのままお店を出ようとするすばるさん。
えっ?会計!
財布を取り出そうとすると、「もう済ませてあるわよ~」と女将さんに言われた。
「良い人、捕まえたわね!」
ポンッと背中を押された。
「ちっ、違いますってば!」
ふふふ〜と何やら意味深に笑う女将さんを背に、急いで、お店を出たすばるさんを追う。
外を出ると夜中になろうとしてことも手伝って、お店に来た時よりも寒くなっていた。
すばるさんは出入口のすぐ横に、ポケットに手を突っ込んで寒そうにしていた。
「すみません、」
「おん。帰るぞ」
と、家へ向かい出す。
多分、送ってくれるつもりなんだろう。
「すばるさん、お会計…」
「誕生日なんやから奢られとけ」
んははっと鼻を赤くしたすばるさんが笑う。
「…でも、前も奢ってもらいましたよ」
先を歩くすばるさんの横に並ぶ。
後ろじゃなくて。
【友達】の時くらい、同じ景色を見たい。
「ほんっま素直に奢られてヤッターってならへんよなぁ…
ほんなら、霄ちゃんが寝てる間に俺が言ったこと、当てれたら、霄ちゃんの思う通りにせえ」