第7章 隠しきれない。
「よう、来てたんやな」
上着を脱ぎながらすばるさんが言う。
「はいっ!
よくって言っても1年に2回とかですよ?でも何回も来たいくらいおいしいです!」
串ものもだけどお茶漬けとか高菜ご飯とか!
「へぇ〜、じゃあ何頼んでも安心やな」
霄ちゃんのお墨付きやし、と付け加えるすばるさん。
「何飲む」
「うーん…」
チューハイとか飲みやすいって言うよねぇ…
「ビールは無理です。」
キッパリ。
「え?なして?」
ぽかん、と口を開ける。
「小さい頃、お父さんに試しで飲んでみろーって言われて飲んだらすごく苦かったんです」
もうあれはトラウマだ。
「小さい頃?!悪やなぁw」
「チューハイとかって…飲みやすいって聞きますけど炭酸っぽいんですよね??」
「おん。シュワシュワすんで」
「わたし、炭酸苦手なんです」
小さい頃からあまり飲まされてないから慣れてないのか、喉が痛くなる。
「まじか」
それを聞いて爆笑するすばるさん。
「まぁ、飲めへんようなったら俺が飲んだるから。
好きなん選びや」
へらっ、と笑う。
その優しさに、笑い顔に、
胸がきゅん、と鳴る。
「ぁ、ありがとうございます…」
まだ飲んでないのに顔に熱が集まる。
いつになったらこの赤面症みたいなのは治るのか…。
「あ、青リンゴおいしそう…」
わたしは青リンゴのチューハイ。
すばるさんはビール。
「ほな…乾杯する?」
「…します?」
「霄ちゃん、誕生日やから音頭とる?」
ハハハッと笑う。
「いやいや!自分の誕生日に自分でやるってなかなか恥ずかしいですよ?!」
慌ててツッコむと
「ほなぁ、俺が言うわ」
お互い、グラスを構える。
「霄ちゃんの誕生日に、
乾杯」
カチン、と鳴らす。
「ふあっ」
一口飲むと、シュワッとする。
「んはっ
大丈夫か?」
「だいじょう、って
すばるさん、泡ついてますよ?」
口周りを指して教える。
「おNEWのヒゲや」
言いながら口を拭う。