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第6章 誰為、己為


「…自分で、なんとかできるって思ったんです。
すばるさんに少しでも迷惑かけないようにしたくて…
でも記者の人のことは、
わからなかったから少しだけヒントもらおうと思って…

すばるさんが頼りないとか、そんなこと全然ないです!
頼りないのはわたしの方で…」

すばるさんの温もりを確かめるように、
頬にあるすばるさんの手に重ねる。

「何も、出来なくてごめんなさい」
こんな時でも、わたしは上手く伝えることが出来ない。
少しでも、と思いすばるさんの目を見つめる。

(こんなに近いの、恥ずかしい…)


あ、
「きょ、今日のはほんとに突然だったので防ぎようなかっただけですからね??
報告怠ったわけじゃないですからね!」
急いで言い訳を、いや、事実を言う。


すると
すばるさんは優しく笑って目を伏せた。



(まつげ、長い)

穴が開くんじゃないかと思うくらいじっくり見てしまう。

「霄ちゃん、ありがとうな」

ゆっくりと目を合わせてくれる。

「俺のこと、考えてくれてありがとう

俺が悪いのに…自分のことより俺のことばかり考えて…

ちゃんと守れんですまん

しかも心配なったからって
俺から会われへん言うたんに会いに来て…
それもすまん」

待って

「すばるさん、待ってください」

「ん?」

すばるさんに重ねていた手に力を込め、
ぎゅっと掴み、顔から手を離す。

「すばるさんは何も悪くないです!絶対に!
むしろ何が悪いって言ってるんですか」

少し気圧されたようなすばるさん。

「、や、あの、俺と仲良うしてたから今の状況に…」

目を大きく開いてびっくりしてる。

少しだけ、笑っちゃう

「…わたしたち、似たもの同士かもしれませんね」

「えろさが?」

「ッな!違いますよ!」

「真っ赤やなあ」

「誰のせいでっ…!じゃなくて!
考えてることです!

わたしも、考えたんですよ
もし、すばるさんがあの日、宅配頼まなくて、頼んだとしても行ったのがわたしじゃなかったら。
出逢うことがなかったら、って…」

「おん…」

「でも、どんなに出逢わなかったことを考えても、
どうしても、すばるさんと過ごした時間とか…話したこととか思い出しちゃうんです。

出逢わなかったことになんか出来ないんです…」


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