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第6章 誰為、己為


「まぁ、霄ちゃんがずるいってのは置いといて、
藤村は霄ちゃんが俺と仲良うすんのが嫌ってのもあったんやろ。現に、いっときは俺ら会われへんのやし。」

あんのクソガキ…

でもあいつはええなぁ。

霄ちゃんに、なんのしがらみもなく、
『好き』って言えるんやから。

『…そう、だったんですかねー?』
霄ちゃんはあんまし納得してへんみたいやけど。

「そんなもんや。
ほかは?なんも起きてへん?」

『他はー…なんもないですよ?』

…まーたなんや隠そうとしてそうな間やったな?

「…ほな、何かあったらちゃーーんと言うんやで?」

最後の忠告。

『!
は、はい!わかってますよ〜!』

ぎこちない。

でもあんましつこく言うてもなぁ…

「ほな、な。」

『はい。お仕事頑張ってください』

ふふっと笑い声が聞こえ、
惜しみながら、俺は電話を切った。


(『わたしとも仲良くしてください』か…)

俺が他の女と仲良うしとっても嫌じゃないんかって思うたけど…

まさかあんな返しがくるなんてなぁ…

霄ちゃんらしいっちゃらしいけど…

いつ、「嫌!」って言ってくれるようになるやろか。


俺は霄ちゃんを自分だけのものにしたいって思うてる。

他の男を近づけたくあらへん。

誕生日の時にメンバーと呑んでたけど

あの時も少し、霄ちゃんとあいつらの距離感にはモヤモヤしてた。

カラオケの時だって。

俺とは嫌だって言うてたくせに他の奴らとは歌うし。
距離近いし。

まぁ、結局歌わせたけど。



…あかん!

思い出してもうた。

アダムとイヴを歌ってた時の、

霄ちゃんの表情。

すごく煽られたように感じてた。


あいつらあんなえっろい歌詞歌ってたか?って思うくらいやった。





ってあ!!!!

藤村に好き言われてなんて返したんか聞き忘れた!


今更聞くんもおかしいし…

ないとは思うけど俺の気持ちがバレたら。

まだあかん。
特に今は。

あの様子じゃ断ったんやろうけど…






錦「すばるくーーーん!始めるってー!!!」

収録スタジオの方から亮が手を振ってくる。

「おー」

少しのもやもやを抱えたまま

スタジオに向かった______





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