第6章 誰為、己為
「っ…!」
なんで、
あなたは
わたしが勘違いしちゃうようなこと
サラッと言っちゃうんですかね
私が固まってしまっていることに気付いたのか、
すばるさんが慌てた声で『すまんすまん』と言う。
『ほんで?どうしたん』
ハッ!
そうだった
「、昨日、その、
藤村くんから…今回の件で謝られました」
『…そうか〜…
…他、なんや言われた?』
!
勘、鋭すぎじゃないです…?
「、や、別に、」
『好きやって、言われんかったか?』
「えっ」
なんで知ってるの…?
『言われたんやろ?』
「…はい…」
電話の向こうでため息をついたように聞こえた。
『…投稿したんは、多分好きやったからやな』
え?
「そこと関係あったんですか??」
『ほんま鈍ちんやなぁー…好きな子が他の男と仲良うしとったら嫌やろ。霄ちゃん、そんなん思わんのん?』
と、言われましても…
「わたし、今までそういう『好き』っていう感情を経験したことないです…」
自分の好きな人が他の人と仲良くしてても…
うーん?
『はっ?ないん??!
泊まりに行く友達もおらん言うてたし…それもないって…
大丈夫か???』
「ちょ!どういう意味ですか!!」
ただちょっとだけ
他の人たちより経験が少ないというか
なんというか…
『ほな…
俺が他の女と仲良うしとったら?』
?
すばるさんが
他の女の人と
仲良く…
でも…世界にはたくさんの人がいるんだから
一人の人とだけしか仲良くしちゃいけないっていう決まりもない…
なんだろう
そう思っても、
こころなしか、
モヤっとする。
もしかしたら
「嫌、かもしれないです…
嫌っていうか…
わたしとも仲良くしてください!って思います」
ほったらかしは、嫌です
あれ?
「すばるさん??」
静かになってしまった。
『ほんっまそういうとこ霄ちゃん、ずるい』
「へっ?!どういうとこですか!!」
よくわかんないけど!
ずるいっていうとこに関しては
わたしもすばるさんってずるいって思うんですけど