第6章 誰為、己為
「浪花、なんもない?」
学校につくとすぐに三河が声をかけてくれた。
「うん…起きては、ないと思う。」
「?」
わたしの言い方にひっかかったらしく、首を傾げる。
「近くに、その…投稿のこと、話してる子達がいて…」
「なんもされてない?!」
「うん。それは、大丈夫。写真に写ってた本人がいることには気付いてなかったみたい。」
三河がホッと胸をなでおろす。
心配してもらえて幸せだなぁ…
「…ありがとね?」
「はぁーもー何言ってんの!」
トンッと軽く小突かれる。
わざと大げさに、
イッタって言ったりしてみる。
うん。いつも通り。
実技が始まる前にケータイを見てみると、
すばるさんからメッセージが入っていた。
『昨日の着信、出れんですまん。今、大丈夫?』
あ…
ちょっと電話かけたの忘れてた…!
『いえいえ気にしないでください。今から授業なので、昼休憩の12~13時の間にかけてもいいですか?』
わたしの都合で申し訳ない…。
『おん、わかった。』
すぐに返事が来たのでホッとする。
今度はすれ違わずに済むかな…?
まぁ、そういうすれ違わず済むかなとかさ、
すごくわがままな悩みに思えてくるよね。
すばるさんに昨日のことだけじゃなく今朝のことも話すべき?
でも直接何か言われたとかじゃないしなぁ…
…昨日のことだけ、ものすっごく簡略的に言おう。
重要なことだけ、重要な。
お昼、
早く電話しなきゃ、と思いつつも、もしも食いそびれたらつらいので、先にご飯を済ませる。
そして、いつもの階に行き、
すばるさんに電話をかける。
一応言っといたけど…
出るかな?
何コール目かで、つながった音がした。
『ん、』
「あ、浪花です」
反射的に言ってしまった…。
微かに笑い声が聞こえる。
『そらぁ霄ちゃんやろな』
「反射的に言っちゃいました…」
『ちょいちょい笑いぶっこんできやがって…
それよか霄ちゃんから電話もらうん、初めてかも知らん。』
あれ?そうだっけ…そんな気がする…?
「よく覚えてましたね?」
『おん。霄ちゃんのことはなんでも覚えとる』