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delivery start【KJ∞】

第6章 誰為、己為


Prrrr

Prrrr

Prrrr


……出ない。

収録とか、かな?


あまり鳴らしておくのも良くないかと思い、諦めて切る。

声、聞きたかったけど…

わがままだなぁ…わたしは。




そういえば…
すばるさんと一時会えないわけだけど…

出逢った最初の頃、わたしが20歳になったら、お酒を飲もうって言ってたの、あれは、約束になるのかな…?

それともわたしだけが覚えてるのかな…?

夜、寝る前とか、いろんなことを考えてしまう。

特にネガティブなこと。





すばるさん、わたしは、あなたの中でどんな存在ですか?
わたしはあなたの心の中にいますか?











「いってきまーす」

「あっ!霄!」

玄関を出る寸前でお姉ちゃんに呼び止められた。

「うん?」

「一応、気をつけなね?」

「うん、わかってる」

再度、いってきますと言って出る。

昨日、帰ってきたときに、既に姉とは話している。報道はまだされてないので、SNSをしていない両親には知られてないけど、SNSをしている姉には回ってきたようで、心配してくれた。

三河と同じようなことをお姉ちゃんも危惧していた。








「ねぇ、すばるの、見た?」

ビクッとわからない程度に反応してしまう。
まぁ…まさかその一緒に写ってた人がいるとは思わないだろうから気にすることでもないんだろうけど…。

思わず聞き耳を立てる。

「見たー!ずるいよね!一般人でとかいいよねぇ〜書き込んだ子、もうあの投稿削除してるっぽいけどさぁー」


良かった…藤村くん、削除してくれたんだ…

「でもあれでしょ?お店とか、特定されてるんでしょ?」

「みたいだねぇ〜調べたら出てくるんじゃない??ねっ、行ったらすばるもまたいたりしないかな??!」

「え〜?ないでしょ〜??」




っ、や、これは、まずい…?

モザイクのかかってない写真の方もある程度は出回ってしまってるってことだよね…?
いくらもう消してあっても、それを見た人たちはたくさんいる。
証拠として保存してる人だっているかもしれない。

お店も、特定されてる…

どうしよう…

昨日よりも、自分の中で現実味が帯びてきている。

今日のバイトで何もなければいいけど……



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