第6章 誰為、己為
学校が終わり、2人ともバイトがなかったので近くの喫茶店に入る。ここら辺はお店が多く、その分ひとつひとつの店舗の敷地は小さい。この喫茶店も例外ではなく、個人店で小さい。その上お客さんもこの時間、あまりいないようでちょうど良かった。
「…えっと…わたし説明とか下手くそだから。長くなるけど…大丈夫…?」
「うん。大丈夫」
もう1年くらい経ってるんじゃないかと思うほど、前に感じる、初めてすばるさんの家へ宅配に行った時のことから、わたしは話し出した…。
「なーるほどねぇ〜。それで、前から言ってたあの好きな人ってのは渋谷すばるのことだったんだね。」
「うん。まぁ、そうなります。」
改めて人に言われると恥ずかしい。
「はぁ…知ってる人って…そりゃぁ、知ってるねぇ…まさかそんな大きなとこまで行くとは…」
「…でも、お友達だから。あっ、言わないでね?誰にも。」
「わかってるよ!言うわけないでしょ!」
「ありがとうございます」
ゴツンっとテーブルに頭をつく。
「やめなさいw…にしても…藤村くん?面倒なことしてくれたねぇ〜。どうすんの?」
うっ…
「それなんだよ…言うべきだと思うけどさ…バイトの先輩がって書いちゃってるし…写真からしてあそこの従業員だってモロバレだし…お店にも迷惑かかるだろうなぁ……はっ!く、クビなったりするかな?!」
「いやぁ〜?せいぜい数日間、謹慎とかじゃないの??何も言われてないんでしょ?」
確かに、わたしは今日の朝知ったが、学校にいる間も、お店から何も連絡が来てない。
知れ渡ってはないのかな…?
「とりあえず…藤村くんとは話さないといけないかな」
「うん。それは…そうだね…」
「はぁ〜〜なんで書いちゃうのかなぁ!今どきの子はぁ!」
テーブルに頬をつけ項垂れる。
「今どきの子って!浪花も一応今どきの子でしょ」
「う〜…」
ブブッブブッとケータイが連続で震える。
見てみると通知がどんどん増えていってる。
「あっ」
「うん?」
「妙子さんとメンバーさんからだ…」
開いてみると、それぞれが今回のことに関して、気遣う言葉を送ってきてくれている。
「…優しいなぁ…」
「あっ、あまりひとりにならない方がいいんじゃない?」
「ん?なんで?」