第6章 誰為、己為
翌日、学校へ行くと…
「浪花〜」
三河が話しかけてきた。
「んー?」
「SNSでさぁ、タイムラインに回ってきたんだけど、渋谷すばる、一般人と熱愛か?ってのがあったよ」
「…えっ」
すばるさん、彼女いたの…?
彼女いても、他の子にあんなに優しくするの?
ほら、と三河が見た、SNSの投稿を見せてくれた。
画像付きのようだ。
「……」
こ、これ、
わたしだ…。
景色にモザイクがかけられてはいるが、服装が、昨日のわたしとすばるさんのものだった。
「でさ、元ネタが一般人の投稿なんだけど、」
と、また操作して見せてくれる。
「『バイトの先輩が渋谷すばると食べに来た』っていう投稿のあと、さっきの画像が投稿されてて。」
…バイトの、先輩…?
「この、女の子って、浪花…じゃ、ないよね…?」
…どうしよう…
写真に写ってる服は学校にも着てきたことあるし…
ドアをひとつ挟んで撮った写真のようで、少しだけドアに書かれた文字が顔に重なり、完璧には顔が写ってはいないようだ。
どうすればいい…??
「すばる!」
「ん?」
楽屋に入るといきなり、ヒナが押し迫ってきた。
「な、何…」
村「お前、熱愛なっとるで!」
は?
横「まだ報道まではされてへんみたいやけど。SNSに投稿あったってよ。」
大「まだ報道されてへんだけで、すぐにされるやろなぁ…」
「ちょ、待てや、熱愛て」
錦「…浪花とや。」
亮の発言は、熱愛ニュースより耳を疑った。
俺と、霄ちゃんが…?
いや、確かに、俺は自分の中に霄ちゃんに対して、そういう感情が生まれてしまっていることに、気づいている。
でもあくまで友達として振る舞ってるつもりや。
「…その、投稿って」
横「これや。」
ヨコがその投稿と思われるものを画面に出してくれる。
「これ、」
昨日の夜、食べに行った店の前で、駅に向かう前に少し立ち止まっていた時の写真だった。
横「モザイクかかってへんもんもある。一般人の投稿や。」
一般人の投稿。で、この写真の向きや角度からして…
「もしかして、」
横「多分、浪花ちゃんのバイト先の奴や。」
次は文だけの投稿を見せてくる。
「これ、あいつや…」