第2章 濡れた肩を寄せ合う雨宿り 【山姥切国広】
「とりあえずわたあめとりんご飴はお土産にするから後でいいとして、最初はやっぱり粉モノからかな…」
お祭りの縁日は戦場だ。どの屋台から周るかで勝敗が決まると言ってもいい。まずはガッツリ粉モノから、という訳で、たこ焼きと焼きそばとお好み焼きに照準を合わせる。念の為まんばにも意見を聞いておこう。
「まんば、たこ焼きと焼きそばとお好み焼き、どれから行こうか?」
「…どれでもいい」
やっぱりというか、予想通りの答えが返ってきた。それが一番困るんだよね。
「まんば、そんな事言ったら決まらないじゃない。いっそ全部って言われた方がまだマシだよ…」
「あんたが好きな物にすればいい」
「全部好きだから決められなくて聞いたのに。もう、それなら全部買っちゃうよ⁉︎」
呆れ顔のまんばを連れて手近な屋台に寄る。まんばに荷物持ちをさせ、たこ焼きも焼きそばもお好み焼きも、それぞれ一人前ずつ買ってきた。長机とパイプ椅子が用意されているテントまで移動し、机の上に置くと割り箸を一膳ずつして隣同士に座る。
「さ、食べようかまんば」
「…どうして一人前ずつなんだ」
「え?もちろん半分こする為にだけど」
戸惑うまんばにわざと満面の笑みを浮かべて、お好み焼きを半分に分ける。
「んじゃ、私こっち側半分もらうね!」
「あっ、おい!!」
まんばは随分慌てているものの、箸をつけようとはしない。私が食べ終わるのを待っているようだ。