第3章 大倶利伽羅夢01
軽くめまいがして膝から崩れ落ちそうになったら大倶利伽羅が抱きとめてくれた。
「…俺の女になれよ。俺はあんたの……柚希の一番近くにいたい。」
「大、倶利伽羅……ほんと、に?ほんとに私で良いの?」
「…あんたが良い。……俺を他の奴らと慣れ合わせようとして面倒だと思うこともあるが……それでもそんなあんたが好きだ。」
大倶利伽羅の言葉を聞いて、胸がいっぱいになった私は大倶利伽羅の背に腕を回した。
大倶利伽羅は一瞬びくりとしたけど、抱き締め返してくれた。
あぁ、素っ気なくされてもめげないで良かった…。
私も好きだよと返事をしようとしたんだけどその時、ガタガタと音がして廊下の曲がり角から光忠と鶴さんが転がり出てきた。
「うわっ!」
「おっと……!?…おい、どうするんだ光忠…!」
「どうするって、鶴さんが押すから悪いんでしょ!」
「え?光忠さん?鶴さん?え?えぇ?」
「…………あんたらまさか、」
「くりちゃん、僕は反対したんだよ!でも鶴さんが見に行くって聞かなくて、君達の邪魔をするといけないと思ったから…!」
「待て!ずるいぞ、光忠!そうは言ってもお前だってどうなるか興味津々だっただろう!」
「だってくりちゃんに好きな女の子が出来たんだよ!見守りたいじゃないか!」
あははー光忠さんお母さんみたいだなーなんて現実逃避しながら少し離れた所で繰り広げられているその光景を見ていたけど、ふと大倶利伽羅が震えてるのに気が付いた。
「…大倶利伽羅?」
声をかけながら顔を覗き込んで…………あ、と思って光忠さんと鶴さんに声をかけようとしたけど時既に遅し。
私から離れた大倶利伽羅はかなり怒った表情でゆらりと立ち上がった。
「……柚希、あんたは部屋に戻ってくれ。」
「あ、う、うん……。」
「…返事、あとで聞きに行く。」
待っててくれ、と私の頭をくしゃりと撫でてから大倶利伽羅は光忠さん達の方へ歩いて行った。