第6章 清光夢01
そうして柚希さんの部屋に連れて行かれて、今柚希さんは何かを探してる。
…そういえば何回も入ってはいるけどじっくり見たことってなかったなーと部屋の中を見回す。
女の子なんだから部屋の中をもっと可愛くデコっちゃえば良いのにと思うようなシンプルな部屋。
あぁ、でも仕事部屋だからかな……なんて思っていたら俺の前に柚希さんが戻って来た。
「ごめん、お待たせ。」
「何探してたの?」
「マニキュアとネイルケアセット。前に審神者の会合で貰ったんだけど、使わなくて。前に清光に買ってあげたのよりも良いのだからあげるよ。マニキュアもちょうど赤だしね。」
綺麗な色でしょ?
そう言って見せられたそのマニキュアは確かに綺麗な色だけど……ちょっとだけモヤッとした。
「…会合で貰ったもの、俺にあげちゃって良いの?柚希さんへの贈り物ってことでしょ?」
「うーん、贈り物…っていうか、ちょっと押しの強いお姉さんがいてね……審神者だってお洒落したって良いんだから!って押し付けられたというか……気にかけてくれるのは嬉しいんだけど、赤は私には格好良すぎて似合わなくて。」
柚希さんは苦笑して、俺はホッとする……いや、だから何でホッとするんだよ、俺!
そんな俺の心の葛藤に気付いてないらしい柚希さんは俺に手を出す。
「はい、手出して。塗り直してあげるから。」
「…うん。」
柚希さんが元々塗っていたマニキュアを丁寧に落として、ささくれた指のケアもしていって、また塗り直してくれる。
慣れた手つきで、審神者になる前は塗ってたのかなと思ったから尋ねてみた。