第6章 清光夢01
「あーあ、だから畑仕事はしたくないんだよ…。」
縁側に座って自分の手を見て溜息をつく。
マニキュアは剥げてるし、ちゃんと洗ったのに爪の間は泥が残ってるし、他にもささくれたり、小さな傷があったり……ボロボロだ。
手入れ部屋に入れば治るだろうけど、こんなもんじゃ入らせてもらえないよなぁとまた溜息をついた時、離れの方から柚希さんが歩いて来た。
「あれ?清光?そんなところで何してるの?」
もう自由時間でしょ?と不思議そうな顔で近付いて来た彼女に手を見せた。
「んー、俺の手ボロボロだなーって。ねぇ、手入れ部屋行っちゃダメ?」
「うーん、ダメというか今空いてなくてね。…あぁ、確かに爪剥げちゃってるね。」
言いながら手をそっと取られて何かドキッとした。
何でだよと心の中でツッコミながら、つい可愛くないことが口からこぼれる。
「だから畑仕事したくないのにさー、柚希さんがやれって言うんだもん。」
「はいはい、当番制なんだから我慢してください。…あ、そうだ清光、ちょっと一緒に来て。」
「えー、なに?」
「私の部屋に行くだけだから。爪、直してあげる。」