第2章 真実。
「先崎はお母さんの前に使っていた名字なの。
家にある先崎に関してのものはないからバレない。
これは戸籍っていうものよ。
これでこれから渚は先崎渚、男として生きて」
「どういう事なの・・・?」
「その内わかるわ。
早く遠くへ行きなさい。
一人で食事をとり、一人で学校へ。
この学校へ行けばお母さんの知り合いがいるの。
そこだったら上手くやっていけるわ。
さぁ、早く行きなさい!」
もう何も考えられない。
お母さんは何を言っているの?
私が一人で生きていける訳・・・
「どこに行った!」
「近くにいるはずだ!くまなく探せ!」
近くからさっきの男の人達の声が聞こえる。
「早く行きなさい!ここはお母さんが止める。
その内に逃げて!」
言われるがまま私は逃げた。
お母さんのあんな顔初めて見たから。
ただ事じゃないとわかって。
さよなら、葛西渚とお母さん、お父さん。
初めまして、先崎渚。