第2章 真実。
「ほら、寝るよ~」
ふかふかの布団。
3人で寝れるって幸せ。
あったかいし安心して寝れる。
―ピンポーン
いきなり玄関からチャイムがなった。
今は23時。
こんな時間に誰だろ。
「あなた・・・」
「うん、臭うね」
臭う?
確かにうっすらだけど良い臭いがするっていうか。
でもお父さん達は顔が強張ってる。
何かあるのかな。
「俺が行ってくるから、渚を頼む。
もし何かあったら・・・」
「えぇ、わかってる」
お父さんは優しく微笑み私のおでこにちゅーしてくれた。
私はおやすみのちゅーかなと思って、お父さんのほっぺにちゅーした。
そしたら満面の笑みになってくれた。
「じゃあ行ってくる」
「気を付けて」
お母さんは泣きそうな顔をしてる。
私に出来る事は・・・
「ぎゅーっ!
こうすれば、何も怖くないでしょ?」
私が泣いちゃった時とか怖がってる時、お母さんはいつもぎゅーってしてくれた。
だからこうすればお母さんも怖くないかなって。
「ありがとう、渚」
そうこうしていたら玄関からお父さんと男の人の声がした。
集中してみると男の人数人の気配がする。
何かな・・・。
「逃げろ!!!!」
玄関から凄い音とお父さんの逃げろって声が聞こえた。
何をしてるのかな。
それに気付いたお母さんが私を抱いて窓から飛び降りた。
そっと玄関を最後に振り返って見た時お父さんは嚇子を出しているのが見えた。
そして黒いケースも。
必死そうな顔をしていた。
お母さんは声を出さずに泣いていた。
「逃がすな!外だ!」
後ろから男の人2人が追いかけてくる。
お母さんは必死に走ってる。
どうしたんだろ、こんなになって。
路地裏にまわり、人目につかない所に来た。
さっきの人達はいない。
「お母さん?」
お母さんは涙で顔がぐちゃぐちゃで息切れしている。
体も震えている。
「良い・・・?
今からお母さんが言う事を良く聞いて・・・」
息切れしながらお母さんが私の目を見て言ってきた。
「うん」
「これから渚は一人で生きなきゃいけないの。
あの黒いケースを持っている人達に渚が見つかっちゃったの。
だから男として生きなさい。
それと葛西渚じゃなく、先崎渚として。」
お母さんが言っている事が頭に入ってこない。
私が男として?
どうしてそんな事・・・。
私は女なのに。
それに私は葛西渚。先崎って誰なの・・・
