第4章 二宮和也という金の亡者
*
さも、私が出るように話を進めているが。
まだ決めた訳ではない。
『まだ、私決めてないんだけど。』
そう言うと、彼はなにゆってんの?とでも言うような目で睨み付けてきた。
「なにいってんの千春。お金のことには目がないくせに。」
お金のポーズを手でつくって。
ふふんっと鼻で笑う。
『二宮さん、変な言い方はやめていただきたい。』
彼は私の言い分に不満なのか。
違う違う。と顔の前で手をふり。
「和也。でしょ?千春。」
こいつ、やりおる。
もう、彼の顔は役者の顔だ。
賞金のためなら恥をかいても構わないというのか。
『やってやろうじゃないの。』
なぜか私は火がついたようにやる気が出た。
「俺についてくれば大丈夫だよ。」
そういって、彼氏面をしている彼に負けないように。
私も本番が来る日まで、
彼女面をしたのは単なるバカだからだ。
*