第1章 出会い
「でも、あなたその年で家出てきてよかったの? しかも外国!」
「いいんです。うちには後で連絡すればいいし、家を継ぐのは兄さんたちですから・・・」
「継ぐって・・・ご両親ってもしかしてどっかの社長?」
「だったと思いますよ?」
姉さんは驚いた顔をしたけれど、これがフランス人だ・・・とか呟いて改めて私の方を見た。
「ところで、さっき目が覚めたときまでは一回も起きなかったの?」
「水に落ちたんですよね、私? はい。全然わからなかったです」
「私のいとこだって言って何人かに運ぶの手伝ってもらったわ(笑)」
「あ、すみませんでした」
「気にしないで。それよりも・・・日本は初めて?」
姉さんは立ち上がりながらそんなことを聞いてきた。
私はそれに即答した。
「はい!」
「フランス人は自動販売機にさえ驚くって聞いたわ・・・日本になれるように、滞在中は私が案内してあげる!」
「時間は大丈夫ですか?」
「ダイジョブダイジョブ。私、本を書いているのよ。占いのね。実際にやるのも得意だから、今度占ってあげる♪」
「私、そういうの信じない性質ですけれどね…★」
「上等! 当ててあげるわよ」