第1章 出会い
「・・・と、ねえ、あなた大丈夫?」
「・・・あ?」
瞼が重い。
どうやら眠っていたようだった。
「目が覚めたの? なんであんなところで眠るのよ・・・」
私に向かって話しかけているのだろうか。
その女性は茶色の髪の毛をいじりながら私の事を見下ろしていた。
今の状況を確認すると・・・
今いる場所はさっきの公園でいいらしい。
しかし、今度はベンチに座っている。
それに・・・髪の毛が少し湿っている。
噴水のところで眠って倒れてしまったのだろう。
周りにいる人たちは水に倒れていくおかしな人に驚いただろうな・・・
「あなた、日本語分かるかしら? Do you have Japanese ability?(あなたに日本語の能力はある?)」
「・・・ええ」
よく見れば、この女性は美人だ。
身長も普通にあり、外国にいても見劣りはしないだろう。
彼女は私の言葉を聞くとふっと微笑み、私の隣に腰掛ける。
「よかった。いちいち英語だと面倒くさいもの。あなた名前は?」
「日向ルネ」
「見た目からしても、名前からしても・・・純粋な日本人じゃないわよね?」
「ええ。フランス人なのだけれど・・・祖父母が日本人なの」
「ああ! だからかな? 近くに来てやっと日本人じゃないってわかったもの。でも、その金髪は目立つわ。茶色にでも染めたら?」
この髪の色は、父親譲りだ。
結構自慢の色だけれど、染めなくちゃいけない理由があるならしょうがないか・・・
「でも私、ここにどのくらい滞在するかわからないの。宿も決めてないし・・・」
「あらそうなの~♪ だったら、私の家にいらっしゃいな。弟が今中学の全寮制でいなくなっていて、もう一人の弟も寂しがってるから! みんな喜ぶわ~☆」
「本当に!? それはとても助かります!」
「あ、でも・・・あなた、年齢は?」
彼女はふと真剣な目つきで聞いてくる。
そんなに大切なことだろうか、年齢って・・・
「15歳・・・中学3年生ってところかな?」
「あらま。周助と同い年じゃな~い♪仲良くしてやってね。あ、私の名前は不二由美子よ。姉さんって呼んでよ☆」
「はい、姉さん♪」
「オッケー★」