第6章 ライバル登場?
【ルネSIDE】
『ガタッ』
何かが落ちる音がした。
客室の床に寝転がっていた私は、その音の原因を探るべくして起き上がった。
「元気?」
「きゃぁああああぁあっ!?」
急に声をかけられ、相手の姿を見る間もなく私は手元にあった何かを投げつけ、扉の前まで急いで歩む。
「いてっ」
私が寝ている間に忍び込んだ侵入者の姿を確認するべく、私はそっと振り向いた。
そこにいたのは、長年見慣れた顔だった。
「お父さん!?」
「元気か、って聞いただけなのに・・・(泣)」
涙目になりながら赤くなった額をさすっているお父さんだった。
「なんで日本に?」
「仕事の順番を変えてお前の様子を見に来たんだ」
「もうちょっと後で来ない?」
「1、2日見なければもう心配で死んじゃうだろ!」
「この心配性!」
お父さんがこの会話中にも赤い額をさすっているので、私はなんだか不安になって投げたものの正体を見ようと床に目を向ける。
「・・・筆箱・・・」
「チャックがあいてたからシャーペンが飛び出してプス、だったよ・・・あいたた」
もとはと言えば、いきなり出てきたこいつが悪いのだが。
「というか、いつからいたの?」
「テニス部を見学してると聞いて、お前が帰るところからずっと見張っていた」
「ストーカー」
「お前の身を心配しての事だ!」
(言い訳でしょ)
大体、どうやって家に入ったのだ。
そして部屋に・・・
「美人な日本人女性に入れてもらったぞ」
「姉さん?」
不二家のお母さんも美人だが、今は家にいないはずだから姉さんということになる。
「いや~話の分かる娘さんだった。私を快く家に入れてくれたのだからな」
「外国人でも別人だったら危ないところだったけどね」
「そう毒を吐くな・・・ちゃんと証拠を持ってきた」
「は?」
お父さんは自分の鞄の中身を漁り始めた。
すると、1枚の写真を取り出す。
「家族写真☆」
「そんなのいつも持ち歩いてるの?」
もう呆れてしまう。
・・・ま、こんな心配症も父のいいところなのだが。