第6章 ライバル登場?
【周助SIDE】
「不二先輩」
「越前・・・?」
部活も終わり、今まさに帰ろうとした時だった。
部室を出るとそこには越前がいつものように仏頂面で立っていた。
笑顔の方がいいのにっていつも思うんだけどな・・・
「今日も一緒しませんか?」
「いいよ」
越前から誘ってくることはそんなにない。
可愛い後輩からの誘いをだれが断るのだろう。
もちろん話題はテニスの事・・・
「昨日の人、今日もいましたね」
「・・・・・・」
違った。
越前の顔色を窺うと、彼はそれに気づいて顔を見返してくる。
「・・・なんすか?」
「彼女がどうしたって?」
「・・・そういやあのヒト、不二先輩の彼女なんすよね?」
「・・・ああ~そんなこと言ったっけ?」
「はい」
言った気もする。
嘘だけど。
「それであの人なんスけど、外国の大きな企業の社長の娘らしいっす」
「社長の娘?」
初耳だった。
彼女が来てからそんなに日は経ってないし、初対面のような人に誰が家族の事を聞くだろうか。
「はい。その社長なんかテニス関連の記事に乗ることもあって顔は知ってたんすけど・・・何だったっけ」
「それ、結構大事なところじゃないの?」
「で、昨日いつものように家で練習してたらその人がうちに来たんすよね・・・」
「・・・え?」
外国の人が越前の家に?
どういった経緯で?
「俺の親父に用があったんス。外国でも成績残してるから」
「で、社長さんはどうしたの?」
「ついでにってことで先輩の彼女のこと聞かれて、あ~この人かって・・・」
「どうして?」
「家出娘らしいっす」
「・・・そーなんだ」
家出娘って・・・あの年で外国まで?
「彼女の事知らなかったんすか?」
「いや・・・聞いたことなかったからね」
「あの父親も本当はそれを一番聞きたくて家に来たんでしょーね。何故か俺が青学ってこと知ってたっすもん」
(情報網凄い・・・)
「不二先輩の事は知ってそうでしたね」
「えっ」
「なんか男と一緒に暮らしてどーたらこーたらと・・・」
「・・・・・・」
(なんてことを・・・)