第4章 作られていく日常
「・・・ッ・・・」
彼女の顔が少し赤くなったような気がした。
それが朝日に照らされてキラキラと輝いた。
彼女は慌てて目をそらした。
――僕は、まだ彼女の横顔から目をそらせないでいた。
(・・・っまずい)
僕は慌てて前を向く。
彼女がまた振り向こうとしていたからだ。
(また目が合ったら勘違いされても文句言えないぞ)
・・・”勘違い”?
僕は何を言っている?
彼女の事はそういうのではない。
彼女はただ姉さんが連れてきた”友人”だ。
大して関わりのない僕が何を言っているんだ。
「はぁ・・・」
「不二、大丈夫か?」
思わずため息をついた僕にタカさんが心配そうに声をかける。
「大丈夫だよ」
「そっか」
タカさんは安心したように微笑むと、自分の席に戻った。
僕は一安心して椅子の背もたれに寄りかかる。
――とにかく、今のはもう考えないように一日を過ごそう。
僕はそう思って提出物を持って席を立った。