第4章 作られていく日常
【ルネSIDE】
『キーンコーンカーンコーン』
6限目が終わり、チャイムが鳴るとがらがらと音を立てて皆が立ち上がる。
「礼」
皆に合わせて礼をする。
段々と授業に慣れてきたのが自分でもわかった。
教材を片付けようとロッカーに向かった時だった。
ミツルちゃんが私の前に立ちふさがる。
「ルネちゃん、今日は一緒にテニス部見に行こう!」
「え・・・」
「いいね! 3人で行こうよ♪」
ルリちゃんも話に入ってくる。
「でも・・・」
今彼の事を話すと頭が痛くなりそうなのに・・・
「そういやさ、ルネちゃんは手塚君狙いだからミツルとかぶるよね? ライバルじゃん(笑)」
「えっ!?」
私は思わず抗議の声を上げようとしたが・・・
「そうじゃん! ルネちゃん、ライバルなんて言わずに憧れの目でずっと見つめていよう☆」
「ミツルちゃんはloveな意味で好きってわけじゃないの?」
「そうよ。ただ目の保養にしているだけだし・・・ま、願わくば。だけどね」
「そう、なんだ・・・」
目の保養・・・ルリちゃんにとっての周助君も同じなのだろうか?
私はそっとルリちゃんの方を窺う。
彼女は私の視線に気づき、にこっと笑って言った。
「私は全力で行くからね♪ 目の保養も最低限だけど、挨拶から始まっていつかは・・・」
彼女はほおを少し紅潮させた。
・・・本気、だよね・・・
”ズキ”
ズキ?
胸がちくりと痛んだのは気のせいかな?