第3章 テニス部
【ルネSIDE】
私は別に、周助君と一緒に帰ろうとして待っていたんじゃない。
ただ、テニス部で見た小さい1年生と話をし忘れたと思って、彼が出てくるまで待とうと思っていたのだ。
テニス部は手塚君が終わらせたはずだからすぐに来るだろうと、私の校門の前で立っていた。
だから、決して周助君を待っていたわけではないのだ・・・。
「あれ、ルネさん?」
「え・・・?」
周助君と1年生の子が一緒に出てきてしまったのだ。
「これから帰る? だったら一緒に行こう。女の子が一人は危ないよ」
姉さんがいるからか、割と紳士的な対応・・・
その時、1年生が言った。
「方向一緒なんすか?」
「そりゃそうで――」
肯定しようとして、私は思わず自分で自分の口を塞ぐ。
1年生はそれを見逃さず・・・
「やっぱ知り合いなんすか?」
周助君はちゃんと、1年生には何も言ってないらしい。
いや、私は別にばらされても平気だけれども、周助君の方は大変だろう。
だから、周助君はここで今家で止まっているんだ、とは言えないはずだ。
「あ~えーと・・・彼女なんだ」
「ブフッ」
思いがけない周助君のごまかしに、私は思わず吹いた。
いやいやいや、だって今日転入してきた外国人なんかに誰が告るって!?
ニコニコ顔で何考えているかわからない周助君でも、流石にそのくらいの常識はあると思ってたよ!?
「え・・・不二先輩って外国人・・・え?」
この1年生も可哀想に少し困惑してるわ・・・
不二先輩も少しやっちまったなあという雰囲気を出している。
1年生から疑われるような発言をしてしまったのは私だけれども、この時ばかりは周助君に謝ってほしかった。