第3章 テニス部
【ルネSIDE】
手塚君に案内してもらい、竜崎先生のところに着いた私は、ついて早々に叱咤された。
「見学者ならおとなしく説明されてればいいのに!」
「すみません・・・」
竜崎先生の迫力に押されて、私はおとなしく謝った。
竜崎先生は大きく一つため息をつくと、私の肩に手を置いた。
「迷子になって下校時刻に間に合わなかったらあたしの責任になるんだから、もう勘弁しておくれよ」
「ッ・・・はい!」
その手は乱暴に私の肩を叩いたけれど、彼女の優しさが伝わってきた。
「では先生。今日はもうこれで片づけさせます」
「ああ、そうしておくれ」
手塚君の言葉に竜崎先生も頷くと、彼はコートに戻っていった。
「・・・で、あんたのしたいことは済んだかい?」
「え?」
「わざわざ”男子”テニス部に来るくらいだから、何か目的があったんだろう?」
「ああ・・・」
周助君のいつもと違う表情が見たいがためにここに来た・・・が、できなかった。
「今日はもういいです。迷惑をかけてすみませんでした」
「・・・そうかい。じゃあ、気を付けて帰るんだよ?」
「はい。有難う御座いました」
私はそう言って、その場を後にした。