第3章 テニス部
「・・・あの、本当にマネージャーいないんですか?」
「ああ。もどきはいるけれどね」
「・・・マネージャーなしにこんな部活が続くんですか?」
「続くんだねえ・・・」
私は目の前の光景に絶句した。
この男子テニス部の練習光景は、それほどまでに鳥肌を立たせるようなものだったからだ。
(厳しいコースへの取り方)
まだ1年生と思われる少年の動きに思わず見とれてしまう。
あんなに小さいのに、あれだけ動いてまだボールのキレがすごい。
すみれ先生に聞く限り、彼は期待のルーキーだそうだ。
・・・しかもアメリカから来た。
ちょっと話したくなった。
(速いボールへの対応)
身軽に体を動かす元気そうな少年。
ほっぺたに怪我でもしたのか絆創膏のようなものがついていて、くせっけが彼が跳ねるたびにぴょこぴょこ動く。
か、可愛い・・・!!
思わずそう思ってしまった。
体勢が崩れた時も後ろにラケットを回して器用に打っている。
あの運動神経欲しい・・・
(正確なコースつき)
先ほど見た手塚君が相手から送られるボールを丁寧に、何度来ても同じ場所に返している。
・・・いや、さっきの人たちもすごかったけれど、何球打っても全然ずれないってどういうことよ・・・!
おもえば、さっき見た人も同じように返していると思ったけれど、同じ場所に返していたのかも・・・
私は思わず身を震わす。
(ば、化け物の集まりだわ・・・)
私は他にも怪物がいると思うと怖くなり、早く目的の人を探そうとコートを回る。
・・・思うが、なんでこんなに練習で緊張が走るの!?
コートの周りでボール拾いをしている人たちも苦しそうだった。
なんで・・・1つの事に一生懸命になれるのだろう。
飽きないの?
つまらなくないの?
なんだか、胸がもやもやした。