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アイドル☆キュンキュン【Mr.FULLSWING】

第1章 嫉妬


「あたしにとって犬飼キュンはね。」
わざわざキュンの部分を強めに発音する○○さん。
「もう犬飼キュンっていじるのはやめてくれないっすかね・・・。」
「ごめんってー!」
また拗ねた僕に○○さんは笑って謝る。
「犬飼君はあたしにとってのアイドルなんだよ。恋じゃない。恋人は忠之介だけ。」
そう説明されて少し照れるっすけど、どこか納得がいかない。
「でもあんなに大好きって追いかけてるじゃないっすか。」
「テレビの向こうのアイドル追っかけてるのと一緒だけどな。アイドルオタクにだって恋人いるでしょ?」
「いるんすかね。僕は知らないっす。」
女性アイドルを追いかけている男性は、アイドルに恋していると僕は思っている。
「忠之介にだって好きな女性芸能人ぐらいいるでしょ?」
「僕はそういうのは・・・美人だなーとか思う事はあっても、ファンって程の人はいないっす。」
「あー・・・ほら、大好きな野球選手いたじゃない?」
「村中選手っすか?」
「そうそう。部屋にもいっぱいポスターとかあったじゃない。ああいう感覚よ。」
言われて何となく想像出来なくも無いっすけど。
「だって村中選手は男じゃないっすか・・・僕は男には興味ないっすよ?」
「まぁそうだけどさ!確かにあたしは異性アイドルの追っかけですけど!そんな感覚なの!」
それでも想像力の乏しい僕はなかなか納得が行かないようで。
僕らしくないと言われれば仕方ないような、意地悪な質問をぶつけてみた。

「でも○○さん、もし犬飼君に付き合おうって言われたら付き合うでしょう?」

ぶつけて少し後悔する。
「付き合うかも」って言われたらどうしよう?
そう言わなくても、数秒悩まれたらそれはそれで傷付く。
あぁ、僕はなんて質問してしまったんすかね?
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