第9章 ❇︎3月 卒業したら終わりなんて言わせない【黒バス 青峰】
俺と付き合えばいいだろ。
青峰の言いたいことがわからず首をかしげると、彼はじれったくなったのが説明をしてくれた。
「俺と付き合ってることにして、俺があいつに言ってやるっつってんだよ」
「え、だって相手は高3…」
「あ?んなこと関係ねぇよ」
「…ですよね…」
普通の高校生より高い身長、色黒の肌。
そして野生動物のように鋭い瞳。
確かに年上でもひるみそうな外見ではある。
「そうしてくれるのは嬉しいけど、何でそんなこと…」
「最近暇だったんだよ、お前と遊ぶの面白そうだしな」
変な理由。
そう呟くと、彼の耳には入っていたようで結局どっちにするのかと選択を迫られた。
青峰が本気でそんな理由で助けてくれるのかは謎だが、私がこの問題を解決したいと思っているのは事実。
なら、答えは1つ。
「…じゃあ、よろしくお願いします」
「おう!」
初めて見た無邪気な青峰の笑顔は、やけに活き活きとして見えた。
「すごい、ホントに解決しちゃった…」
「あんな奴、大したことねぇよ」
付き合う振りを初めて1週間。
ある程度周囲に付き合い始めたと認識させたところで青峰は行動を開始した。
返事を先延ばしにされ、尚且つ後輩と付き合ってると噂を流れてプライドの高い先輩が黙っているはずがないと踏んだのだ。
わざと先輩の前で恋人の甘々な空気を醸し出す。
そんな単純なことだったけれど、単純だからこそ先輩の怒りを買ったのかもしれない。
早々に文句を言いに来た先輩を逆に青峰が威嚇した。
こうして私の悩みは随分あっさりと解決したのである。
「良かったね、!」
「……」
「?」
「…青峰くんってカッコよかったんだね…」
「…え?」
代わりに、新たな問題が浮上した。
先輩からその大きな背中で私を庇い、その力強い腕で私を引き寄せる彼に、恋をしてしまったのである。