第9章 ❇︎3月 卒業したら終わりなんて言わせない【黒バス 青峰】
「俺と付き合えばいいだろ」
「……は?」
それは突然の提案。
その裏にどんな想いがあったのか、私はまだ知らない。
「どうするの?」
「…ん〜、断りたいんだけど…話を聞いてくれないんだよね」
教室。
自分の机に突っ伏す私とそれを呆れたように見る友人。
話は数日前に起こったとある事件。
「告ってきた先輩、すごくモテるテニス部のキャプテンでしょ?付き合えばいいじゃん」
「私別に好きじゃないし…話したのだって委員会同じだった時の数回だけだもん」
名前さえぼんやりな先輩に付き合おうと言われても、頷けない。
でもその先輩はかなり自分に自信を持っているらしく、私が断るとは欠片も思っていないらしい。
それでもはっきり言おうと私が口を開いた瞬間、彼は何かを察したのかその場を去ってしまったのだ。
返事はYesしか受け付けないってか。
かといってそこは譲れない私は、今こうして悩んでいる。
今日も何度か姿を見かけたから話に行こうとしたのにのらりくらりとかわされた。
それなのに、つい教えてしまったLINEの方では
『今度の休日遊びに行かない?』
『俺のこと名前で呼んでよ、俺もって呼ぶからさ』
なんて口説いてくる。
なんて自分勝手な人なのだと日に日に好感度は下がっていくのに断れないこの状況。
「……はぁ」
一旦考えるのを止めにしよう。
そう思った私は友人に別れを告げて屋上へ行くことにした。
そこには先客が。
「よぉ」
「青峰くん…またここで寝てたんだね」
「俺がどこで寝ようが俺の勝手だろ」
「まぁ、そうだけど」
1つ下の後輩、青峰大輝。
バスケの世界において騒がれる《キセキの世代》の1人らしい。
しかし私にとってはサボり場所であるここ、屋上でよく会うちょっとナマイキな後輩だった。
「アンタがこの時間に来るなんて珍しいな…なんかあったのか?」
「鋭いね…実はさ、」
青峰に経緯を話す。
聞いたくせにぼりぼりと頭をかいて興味なさげな彼は、私が話し終えると口を開いた。
「んだよ、そんなことか」
「そんなことって何、私真剣に悩んで…!!」
「俺と付き合えばいいだろ」
「……は?」
そして冒頭に至る。