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Various stories

第1章 ❇︎1月 初詣【テニスの王子様 跡部】




「跡部…おみくじとかやるんだね」

「俺様がやったら悪いか?」

「悪いとは言ってないけど、意外」

俺様は自分の運勢なんか関係なく思い通りに1年過ごせるぜとかいうかなと思っていたから。
そんなこと口には出せず、巫女さんにお金を払ってくじを受け取り見てみる。

「中吉…ね」

悪くもないし、こんなものだろう。
満足しておみくじを財布に入れると、突然横から高笑いが聞こえた。
勿論言わずと知れた王様である。

「大吉だったの?」

「あーん?当然だろ」

当然とか言ってるわりには嬉しそうに口角が上がっているのだが。
突っ込まないでいてあげようと適当な相づちを打った瞬間、近くで聞き覚えのある声がした。


「おい侑士大吉かよ!すごいな」

「別におみくじやし…大したことあらへん」

「それでもすげぇだろ、俺らは中吉だし…お、よぉ!と跡部じゃねぇか!」


それは忍足と向日と宍戸だった。
つまり芥川以外の氷帝テニス部レギュラー3年が揃ったわけだ。

話によると芥川も初詣に誘ったらしいが、待ち合わせ場所に現れなかったらしい。

………まぁ、予想通りである。


「なんや、2人で初詣か?年明けからお熱いなぁ」

「無理矢理自宅から連れ出された私のこんな格好を見てもそんなこと言える?」

「なんだ、跡部に振り回されてるだけかよ、お前も大変だな」


宍戸の慰めにありがとうと肩をすくめる。
氷帝の常識人達はよくこうして跡部にされるがままの私を労ってくれる、良い人達だった。


それに引き換え…。




「お前この寒空のなか置いてかれたいのか、あーん?」

「…ごめんなさい」




これは脅迫である。
優しさの欠片もありはしない。
なぜこんなにも怒られなければならないのだろう、私は。


しかしここで謝ってしまうあたり、私も私だった。
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