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Various stories

第6章 ❇︎2月 甘い香り【進撃の巨人 リヴァイ】



私という存在は、彼にとって良いものなのか。
ふと頭に浮かんだその疑問は、考えれば考える程分からなくなって私を惑わせる。


「ほぅ…悪くない」

「っ、ほ、本当ですか?」


普段自分が作ったものを食べてもらっているとはいえ、やっぱり兵長が初めて作ったクッキーを頬張る瞬間は緊張する。
じっくりと咀嚼し、飲み込んだ後の声に思わず身を乗り出してしまった。


「あ…ごめんなさい」


勢い余ってとはいえ彼の領域に踏み込んでしまったことに慌てて謝罪する。
そのまま行けば彼と唇が触れ合うんじゃないかとまで思ってしまう距離に一瞬心臓が飛び出そうになった。

我に返って、素早く身を引いたその時。


「待て」


兵長の手が、私の腕をつかんだ。


「え?…あの、兵長?」


そのまま私の動きを止めると、今度は彼自身が身を乗り出して私の首筋に顔を埋める。
先程など比じゃない距離に一気に熱が集まった。


兵長の息が首にかかってくすぐったい。
思わず声をもらしてしまうけれど、そんなことも気にせず彼はしばらく顔を動かさなかった。


「……おい、」

「ひぁっ…は、はい!何でしょう?」


首元で話す彼の吐息に一際大きな声を上げると、兵長は驚いたように私を見る。
その視線に耐えられなくて、場を取り繕おうと大きめの声で返事をした。

ようやく離れて平静を取り戻そうとする私。
何が起きたかよく分かっていないのか、気にしていないのかは分からないが、兵長はそのまま言葉を続けた。


「てめぇのそのクソ甘い匂いもバレンタインとやらに関係あるのか」


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