第22章 赤葦と星空
『あ、流れた』
「えぇー、逃した」
『さっき わたし逃したから これでおあいこだね』
「なにそれ」
『ふふふ』
「ねぇ すいれん」
『ん?』
「やっと 来れたね」
『ほんとだね。忙しかったもんね』
夏にも 秋にも、 流星群は あったけれど、仕事の波にのまれたり、天候に恵まれなかったりして、行けなかったもんね。
『そうやって 考えるとさ、2年前の年始のしぶんぎ座流星群のときって、とってもラッキーだったんだね』
「そうだね」
あの頃も 赤葦先輩が だいすきだったけれど、だいすきの中身は あいまいだった。先輩としてすきなのか、人としてすきなのか、男性としてすきなのか。
「俺にとってもラッキーだったよ」
『え?』
「 すいれんと見れるって、なったから」
隣にいる 京くんの 声音が甘くて、うれしくて へへへ と 笑って返すことしかできなかった。
「あと、一個みたら 帰ろっか」
『うん』