第22章 赤葦と星空
レジャーシート。
ブランケット。
寝袋。( すいれんが寒いというから 途中から 出して いもむしにしてやった)
片づけを すいれんと終えて( すいれんを寝袋から出すとき きゃっきゃっと 楽しそうだった) 帰路に着く前。
「 すいれん 、ちょっとここで待ってて」
『ん?うん』
わかった〜〜という すいれんの声を横耳に、(もう2時もまわり、 すいれんの声もふわふわしていた)車内に入りエンジンをかける。ヘッドライトが すいれんを照らした。
すいれんを待たせているのは 車の正面 2メートル。
そのまま車を降りて すいれんのもとへ あしを運ぶ。
『京くんー、星が見えないー』
「うん」
『うん じゃないよ、せっかくお星さまに浸ってたのに〜』
「それは おしまい。 すいれん、」
こっち見て。
くるりと 後ろを振り返った すいれんの 表情が ヘッドライトに よく照らされている。
すいれんは、ひざまずく 俺の手もとを見て、その表情を驚きに変えた。
すいれんが ことばを発する前に、俺から。
「 すいれん、結婚してくれますか」
何度も何度も心のなかで言った言葉。
うまく言えたのだろうか。
少しかすれてしまったかもしれない。
いつも 目にしているけれど、今夜は特別な すいれんをじっと 見つめると、 すいれんの 唇が うごいた。