第2章 黒尾と初詣(に行く)【微裏】
「あけましておめでとう、くろさん」
「オメデト、 すいれん」
2016年初くろさんだ。
くろさん、相変わらず今年も、かっこいい。昔バレーやってただけある、高い身長、がっしりした腕、からだつき。服着ててもわかる、すごく、男性らしくて、とびつきたくなる、どきどき。
「ん、行かねぇの?」
「!行く行く!」
慌ててくろさんの車に飛び乗った。カチャン、と車内をロックする音が聞こえる。
すこし前、くろさんに どうして鍵をかけるの?と聞いたら、お前が誤って落ちないように。なんて本当か嘘かわからない返答をもらった。(おちないし…)
新年のくろさんをついつい見つめてしまう。ゆびとか、唇を見てしまう。あぁ、早く今年初のくろさんに触れたい、な。唇に触れたい。
「 すいれん、なにやってんの」
「え!?」
「運転しにくい、誘ってんの?」
「誘ってない!」
「じゃあなに、このゆび」
「んんっ、口に入れないで〜っ」
「そりゃ こっちのセリフだ すいれん」
「ちょ、舐めないでくろさん…」
「はいはい」
そっちから 仕掛けてきたんだろ、と くろさんは吐き捨てたあと、運転に戻った。さっきまでわたしのゆび 舐めてたあいだも、運転は崩れなかった。さすが、エロモンスター。ぬかりない。
わたしの ひとさしゆびは、くろさんのもので すこしだけ光っていた。ぱく、と 軽く口に含むと、ほんのりくろさんがよく噛んでるガムの味がした。(気がした)
「 すいれん〜?」
「!?」
「そんなにほしいの?」
「あ、 んっ」
頬に軽くくろさんの唇の感覚がした。すぐ、離れていってしまって、見えたのはくろさんの悪ーい かお。
また近づいてくる、今度は唇かな、どきどきしながら瞳を閉じると、
「唇は あとでゆっくり奪ってやるよ」
そう 子宮に響くテノールが 聞こえた。