第8章 赤葦とほろよい【裏】
「着きました、!」
「きゃ! ちょ、けいくん捨てたー!わたし捨てたー!」
「捨ててない、ベッドに投げただけ」
ぷりぷり怒る すいれんはさっきとは全然ちがう顔をしてた。
木兎さんといたときは、あんなにしっかり喋って、頷いて、聞いて、笑ってたんだけどな。
家に帰った途端、 すいれん甘えモードに入るみたいだ。
「捨てないから、怒らないの」
そう告げて、顎をもちあげて唇にキスをあげた。目を開けると、 すいれんが目を閉じたまま 「んー」と言った。
チュッ、チュッ、チュッ…
「ん、んっ……はぁ…」
リップ音を立てたくなるのは、 すいれんが恥ずかしがるから。
バードキスをし続けるのは、 すいれんを焦らしたいから。ねだらせたいから。
ついばむように軽く合わせたり、両方の唇で すいれんの唇を食むようキスをする。
普段するときより、おさけを入れたときのほうが すいれんは声が 高いから、
すいれんから溢れる嬌声ごと食べてしまいたくなって、すいれんの小さな口は俺の唇のなかにすっぽり入れては、控えめに音をたてる。
「ふっ…ん……、あっ…」
「暑くなってきたでしょ」
しなやかな女性特有のラインが出る、タートルネックに下から手を入れ、そっとおなかに手を這わせた。
もちろん、触れるか触れないかの、ギリギリのところ。
「脱ぐ?」
「んーと、…ああんっ……! どうしよう、かなあ…」
「どうしたいの?」
「脱ぐー」
「じゃあ、ばんざーいね」
一枚 すいれんの纏うものがなくなった。冬は着こむ分、脱がしていく過程が堪らなく興奮する。
黒いタイツごと脚の曲線とやわらかさを楽しんでいると、 すいれんに怪しまれた。(そういう すいれんはずっと俺の指見て触って楽しんでるくせに)
きょうは、足の爪が赤かった。下着は黒で、妖艶。
白い肌とのコントラストが美しい。
つま先から、あたまのてっぺんまで全身をくまなくキスして、手のひらを滑らすように触れてやると、 すいれんの声が耳をくすぐる。
特に、後ろを向かせたとき、背骨に舌を沿わせると、いい声が出る。きゅっと括れたウエスト、腰の曲線美はずっと この手で感じていたい。
感じてくれてることがわかるし、気持ちいいんだなとわかる。