貴方のハートを狙い撃ち! 【サイコパス ラブコメ】
第1章 プロローグ
「そんな……、縢ちゃん……。酷いよ……、私の気持ち、知ってるくせに!!」
「だって、ホントのことじゃんよ?っていうか、いい加減、その縢「ちゃん」っていうの、ヤメてよね!」
そう言って、縢ちゃんは頬を軽くふくらました。縢ちゃんのこの顔は、この作品の作者なら涎を垂らして喜ぶかもしれないけど、私は違う。私が恋するのは、狡噛先輩だけなの―――――!
「なんで?ちゃん付け可愛いじゃない?」
「俺、もう中3だよ!?可愛いなんて歳じゃないし!」
「ホラ、ガン○ムシリーズのヒロインにも、同じ名前のカワイコちゃんがいたじゃない!あんなモンよ。縢ちゃん、可愛い女の子大好きなんでしょ?いいじゃない、お揃いで。」
「全っ然嬉しくねぇよ!っていうか誰だよ!?」
「五月蝿い、縢。知りたかったらアンタの中の人にでも訊きなさい?一発で分かるから。っていうか私は今、どうやったら狡噛先輩と同じ高校に入れるか考えてるんだから!」
「どうやったらも何も、普通に勉強するしかないじゃん……。っていうか、「中の人」って何……?マジで頭大丈夫?」
「…………。」
私は、縢ちゃんの発言内容から現実逃避して、頭の中の思い出のアルバム(スウィート☆メモリー)に浸ることにした。
―――――そう、あれは、この中学に入学してきたばかりのころだった――――。
「何?何で突然、何もない方向に向かって話し始めてんの?大丈夫?」
「五月蝿い。外野は黙ってなさい。」
~約2年前・4月~
私は、まだ桜の残る並木道を走っていた。部活動の見学に行くために、土曜日に登校しようとしていたのだ。時間に遅れちゃいけない、その一心で、私は走っていた。でも……
ドンッ!
「あ、すみません!急いでて……!」
私が顔を上げると、そこには高校の制服を着た3人組が。明らかに不良だった。こんな時間から、なぜかたむろしていたらしい。