貴方のハートを狙い撃ち! 【サイコパス ラブコメ】
第1章 プロローグ
そんな……、狡噛先輩が……、私の恋い焦がれる狡噛先輩が、名門進学校――――その名も金糸雀高校に行ってしまうなんて……!そんなのってない!ひどすぎるよ!あんまりだよ―――――――!
どんなに泣き叫んでも、作品名が違うからなのか―――――原作が同じ脚本家であっても、キュゥ○えは現れない。ましてや私の偏差値だって上がらない。今、ここにキュゥ○えが現れてさえくれれば、契約するのに……!そして、頭を良くして偏差値を上げて、ついでに私をもっと可愛くして、憧れの狡噛先輩と同じ、名門進学校・金糸雀高校に進学するんだ―――――!
「……、縢ちゃん……。現実って、厳しいね……。」
ここは、中学校の屋上。お昼休みに、クラスメイトの縢ちゃんと一緒にお昼ご飯を食べている。私たちは、もうすぐ中学3年生になろうとしている。当然、先生たちからも、「来年はお前たちも受験生だ」「受験勉強に取り組め」なんて言われまくっている。でも、ところがどっこい。先生に何を言われたって、私は「ふーん」ぐらいに聞き流していた――――狡噛先輩の進学先を聞くまでは。
「そりゃ~ね~。狡噛先輩って、あの宜野座先輩を抑えて、余裕の学年トップでしょ?ここらの学校で、金糸雀高校よりもレベルの高い高校なんてないんだから、当たり前じゃね?噂じゃ、金高だってトップの成績で合格したって話じゃん。」
「うん……。」
そう。当たり前と言えば、当たり前なのだ。私の大好きな狡噛先輩は、眉目秀麗・品行方正・超文武両道・完璧超人な爽やかイケメンなんだから。それが、私の想い人……狡噛慎也先輩……!
「それも、特進クラス所属らしいね~。ま、俺にもにも、全く縁のないハナシだけど。」
特進クラスとは、特別進学クラスの略。エリート校である金糸雀高校の中でも、さらに選りすぐりのエリートなのだ!狡噛先輩は、そこに所属するらしい……。もう、狡噛先輩ってば、偏差値がインフレしてんじゃないのか!?ぐらいには言いたくなる。頭良すぎて、もうワケが分からないよ、このすかぽんたん!