第3章 EPISODE Ⅰ
何を忘れた?
「アァッ…ハァ……」
「まだ寝とけ。」
「エース…だっけ?覚えてないけど。」
「そうだ。」
「私を手放した方がいい。」
リオノーラはエースを見つめた。
ずっとここにいたのだろうか。
ナチュラルに心を捕らえられたら私は狂う。
何があっても私と一緒にいてはいけない。
「俺の心配ならいい。お前の力は知ってるよ。」
「…違う。前と違う。」
私が急にいなくなったのでしょう?
それは7年前。
私はその直後に記憶を失くした。
ヴィアリィに出会って壊れた。
昔とは違う。
私は別人よ。
「ナチュラルが出てきたら…すぐ逃げて。」
「ナチュラル?」
「私の目が…影の色…黒く染まり始めたら逃げて。」
私の意思でなくても殺しを楽しむナチュラル。
私がヴィアリィに負けた瞬間に出るナチュラル。
私と影の悪魔が融合されたもの。
ナチュラルは恐ろしい。
気づいたときに一つの海賊を全滅させていた。
海軍も、政府もみんな。
「分かった。けどお前を手放したくない。」
「何でッ…!?」
「いきなり俺らの前から消えて、再会したっつーのにまた離れるのか?」
「それは…」
私にない記憶の話をされても困る。
知らないものは仕方ない。
「分からないんだ…」
「らしいな。」
「私はあなたの顔を過去に思い出せない。」
「ルフィもか?サボのこともか?」
「みんな分からない。」
あぁ、私は一体何を忘れたの?