第3章 EPISODE Ⅰ
<ヴィアリィの憶念>
グリフォンヴィアリィ。
生まれ、一族の戦士となった。
清き心を持ち、守るためだけに戦った。
だがある日、ヴィアリィは最愛のつれあいを失くした。
汚れていくヴィアリィの心。
美麗という意味を持つヴィアリィの名前。
誰もがひれ伏すその美貌。
それすらも残酷になった。
~思い出したくない追憶~
狂気に憑かれたヴィアリィは仲間を次々に殺していった。
その心臓を蝕し、さらに狂った。
手を出した先は人間の棲む世界。
出会った人間を、視界に入った人間を手当たり次第に殺した。
何のために戦い、殺すのか、目的すら忘れて。
何故自分が狂ったのかすら思い出せなかった。
~やめてよ~
好きだった。
人間の血と悲鳴が。
そして死を呼ぶグリフォンの美しい黄金の羽は、徐々に赤く染まっていった。
何を思ったのか、死を呼ぶグリフォンは1000人目の少女を殺すと、海に身を投げた。
~そして死んだ、もう満足?~
人間殺しに飽きたヴィアリィ。
最後は自分を殺して絶えた。
幻鳥グリフォンは記憶で嫌われた。
そして再び人間を殺すことを望んだ死を呼ぶグリフォンヴィアリィはある少女に出会った。
自分と同じような目の色をした少女。
_助けてあげようか?_
少女を騙してカラダを手にする。
手筈だった。
少女の心に棲みつく光が邪魔をした。
完全に手に入れることができないまま、死を呼ぶグリフォンの怨念は小さな欠片だけ、心に残った。
~ワタシの過去はどうでもいい~
妖狐の一族に生まれ、九尾の狐となった少女。
体も心も蝕んでいくナチュラルとなった。
死を呼ぶグリフォンヴィアリィの再来だった。
―もう消えて、いい加減に私に体を返して!―
~貰ったのよ、あなたに~
そして再び、意思と体を支配される。
暗闇に堕ちたリオノーラ。
光の当たる世界ではヴィアリィが暴走する。
―ヤメてッ!!これ以上何も傷つけないでッ!!!―