第3章 EPISODE Ⅰ
~助けてあげるからジカンを頂戴~
『時間…?』
~幸せを感じた時間を頂戴~
漆黒の影は笑った。
その仕草の全てが冷たい。
焼けるように冷たい。
『私は…忘れちゃうの?』
~そういうことだけど・・・助けて欲しいんでしょ?~
この苦しみから逃れる術が欲しい。
どんな犠牲を払ってでも。
血や、力から逃れたい。
『あげるッ!だから助けて!!』
~フフフッ、可愛いお人形さん、ワタシのマリオネット~
影が心を蝕んだ。
声にならない悲鳴が上がる。
自我を失くしていく。
騙されたと思ったときに光が見えた。
私はそれを握り締めた。
二度と離さないように。
~離してよそれ、邪魔だよ~
『これは私の命よ!!』
出て行け影!
これは私の体だ!!
誰にも渡さない!
~・・・バイバイ~
影は消えた。
一塊の意思を残して。
そして3年の記憶を奪われて。
私は何を忘れて・・・?
失くしたモノは何ですか?