第3章 EPISODE Ⅰ
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母の死力で落とされた森。
全く異なった景色。
今までいた場所ではない。
「お母さん…」
母が死んだことは理解できた。
受け入れていないだけ・・・。
霞んだ視界の中を歩く。
血塗れの衣服も気にしない。
ガサガサガサッ・・・バキィッ
大きな獣が現れた。
リオノーラは無意識のうちに妖狐へと変化した。
そして赤い瞳で獣を睨んだ。
獣は怯え、覇気をなくした。
「愚か…」
何が愚かなの?
「私は愚か。」
違うわ!私は生き残れたのよ!
「母の命を踏み台にしてねェ!!!」
・・・。
頬にこびりついた母の血。
拭っても落ちなかった。
絶望に満ちた瞳で光を探す。
あった。
ずっと光っている胸の辺り。
ここで、空間が曲がった。
再びどこかへ飛んでいく。
落ちた先は小さな無人島だった。
気づいたときには着ていたはずの血汚れた衣服ではなく、乾いた青いTシャツ。
そして体も大きく成長している。
10歳だったはずなのに今では13歳くらい。
「何…が起きたの?」
長い年月に埋もれた時空移動。
母が守った九尾の狐の命だった。