Run.run and fly. ーハイキュー!!ー
第4章 青少年会館ー宿舎ー
「見たくねえって何だ、見たくねえって!俺なんかな!あそこで釘が打てんだからな!?」
抵抗を止めた小脇のテディ黄金川にも頓着なく、いきり立つ鎌先に茂庭が顔をしかめた。
「……あー、鎌先。そういう話は内輪に留めとけよ。聞き苦しいし、聞きたかないと思うし」
「俺たちはお前がどういうヤツかよくわかってるからまだしも、悪戯にお前という迷惑の輪を拡げない方がいい」
笹谷も渋い顔で頷く。
「…服……」
青根が困った様子で風呂上がりのチームメイトを見回した。
「せめて下着…」
「…君たちは何をしているんだ?」
不意にてんで第三者的な物凄く冷静な声が割り込んで来た。
「風邪をひくぞ?」
野村だ。その場の全員を眺め渡し、訝しげに目を瞬かせている。
「……ホント何やってんだ?」
野村の後ろから澤村が顔を出した。
「風呂で何かあったのか?」
「てか、何があったらそんなカッコで出て来る羽目になんだよ?…ヤダなぁ…」
その隣、東峰と菅原がタオルと着替えを手にちょっと嫌な顔をしている。これから風呂らしい。
「あ、コラ二口、備品散らかしちゃ駄目だろ。ちゃんと片付けろよケロヨン」
菅原に言われて二口がムッとした。
「俺じゃないスよ」
「俺っス」
影山が正直に手を上げてケロヨンを回収する。二口は頭を擦りながらそれを忌々しげに睨み付けた。
「おーい、何やってんだ、ホントに。ゴミまで散らかして」
二口が取り落とした空の牛乳パックを東峰がヒョイと拾い上げた。呆れながらポンと影山に放ってやる。
「ちゃんと捨てとけ」
「俺じゃねっス」
ムッツリ言った影山の手から、二口が牛乳パックを引ったくった。
「コレは俺っスよ」
「あ、そうか。悪いな、牛乳なら影山って思い込んじまって…」
頭を掻いた東峰に澤村が苦笑いする。
「烏野限定情報だろが、それは」
「アンタらンとこにゃコイツよか牛乳呑んどいた方がいいヤツが二人もいんでしょ」
二口が憎まれ口を叩く。
「コイツに牛乳独占させてんスか?たく、駄目ですよ。お陰でコイツ、エサというエサはみんな自分のモンだと思って人に危害を加える猿みてェに牛乳に見境なくなっちゃってんじゃないスか。甘やかすなっての、猿を。躾らんねえなら山に帰さなきゃ駄目スよ」