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Run.run and fly. ーハイキュー!!ー

第4章 青少年会館ー宿舎ー


茂庭がフッと苦笑いして、腰に巻いたタオルを直した。

「まあ笹谷が女だっても全然嬉しくないけどな。お前いぶし銀の武士じゃん。侍テイストの女子って微妙じゃないか?どうなんだ?ありか?」

「微妙?俺ならまるっきり厭だぞ。有り得ない。武士な女子が風呂から飛び出すなんて、洗いざらしの髪が間違いなく落ち武者だ。タオルが一枚とか二枚とかそういう問題じゃない」

真顔で答える笹谷に茂庭も深刻な顔をする。

「しかも顔はお前だろ?もう心霊現象だよな、そんなん」

「超常現象と言っても差し支えないぞ」

「霊とか言うな!グダグダうっせぇ、服着ろオメーら!」

自分もタオル一枚腰に巻いた格好で鎌先が一喝する。

「オメーらも何だ!食いもんや呑みもんの事でケンカなんかしてんじゃねえ、バチ当たっぞゴラ!」

まだ床に膝をついたままの田中や頭を撫でさすって影山と睨み合う二口らを睨みつけ、鎌先は何故か小脇に抱えた黄金川の頭をバチンと叩いた。

「あだッ!ちょ、鎌先さ…」

「女みてぇな悲鳴上げて、恥ずかしかねえのか、そこのコケシ!マジ幽霊の人かと思ったわ!脅かしやがって!!」

今上げたばかりの悲鳴をスルーされた黄金川が口を噤み、コケシ名指しで罵られた田中がカチンと音を立てて目を三角にした。

「コケシじゃねえっつってんの!コケシだってよく見りゃ髪生がってんだ、ボーズじゃねんだぞ!?どいつもこいつもシルエットで決め付けやがって、コケシと俺に謝れ、コラ?人に怒鳴ってねえでアンタこそ何か着たらどうなんス!?なんつうカッコで飛び出てんスか!誰も呼んでねえっつのにジャジャジャジャンか!?タオル落とすなんてベタな事故起こさねえで下さいよ!びっくりするくらい見ったくねえから!」

言い返してきた田中に風呂場での会話が彷彿したのか、鎌先はカッとして黄金川の髪をミシミシと引っ張った。

「いづダダダダダ!鎌先さん!止めて、マジ止めて!毛根が死ぬ!俺の全毛根が助けてっつってる!ぢぢぢッ、ちょ、ちくしょ、マジ離して下さいって!」

暴れる黄金川と二口の目が合った。一瞬噴き出しそうな顔をした二口だったが、ハッとしてソッポを向く。グミの恨みは深いらしい。黄金川はそんな二口にがっくりして鎌先に抵抗するのを止め、ぬいぐるみの様にぐんにゃりしてしまった。
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