Run.run and fly. ーハイキュー!!ー
第4章 青少年会館ー宿舎ー
「…部屋戻ろう。ミ…」
「ミ!?ミ、なんだ!?ミ、何だよ!俺は麦芽飲料じゃねえっつの!何だよ青根、お前まで!」
「…ミロは美味い…」
「そういう話じゃねぇだろ!?そういう話じゃねぇんだよ!言ったら俺だってミロ好きだし!」
「…ならいいじゃないか…」
「…そう?そうかな?…いやいやいや、そうじゃなくてよ!」
いいや、なくないと言わんばかりに首を振り、青根が先に立って歩き出す。
「はー、早く帰りてぇ。バレーやってなけりゃつるまねぇですんだ連中とひとつ屋根の下とか、もうただの悪夢だよな」
ぶつぶつ言いながら後に続いた二口を青根が振り返った。
「………」
良いも悪いも夢は寝てみるもんだ。
「ーとか思ってんだろ?そうだろ?」
「?」
いきなり言いがかりをつけられて、青根が眉根を寄せた。二口に歩み寄ってじっと顔を見下ろす。
「…何?何よ?何か文句ある?」
その青根を見上げて、二口は腰に手をあてフンッといきんだ。
「………」
青根はひたすら二口を見ながらふるふると首を振る。
「………」
「………」
暫しの膠着状態の後、二口が溜め息を吐いて肩を落とした。
「はいはい、わかったわかった。明日も早いからもう寝ようってんだろ?わかりましたよ、寝ますよ、寝ます」
青根がこくりと頷く。
「あー、訳分かんねぇことでエネルギー使ったら腹減った。カロリーの無駄遣いだよな?腹立つわー」
腹を立てたらまた腹が減るのに…。
「とか思ってんな?分かってるよ、クソ。はー、早く明日になんねぇかなー。あいつらとひとつ屋根の下とかマジ勘弁だっつの」
明日になっても結局同じところに行くんだからひとつ屋根の下に変わりない。
「て思ったな?違うんだよ!気分が全然違うんだって!無防備に寝てるときに一緒だってのが何かすごーくヤなんだよ!はー、もう外で寝ちゃおかな!付き合うか、青根?」
ここまで二口の一人芝居を淡々と流していた青根が振り向いて首を振った。
「…付き合わない」
「うん、まあそうだろね。俺だってヤだよ、野宿なんか」