Run.run and fly. ーハイキュー!!ー
第4章 青少年会館ー宿舎ー
「止めろよ、何だすっぱいグミ様って。こっくりさんとかエンジェル様みたいな…」
「こっくりさんもエンジェル様もメじゃないスよ。…一番怖いのはグミ様ッス…」
俯いてユラユラ頭を揺らしながら言う黄金川に、鎌先の顔色が悪くなる。
「ボソボソ雰囲気出してんじゃねえぞ?止めろ止めろ。俺は怖い話なんか大嫌いだ」
ザバッと立ち上がって湯船から上がった鎌先を見上げて、茂庭と笹谷が頷きあった。
「まあまあ?」
「うーむ。どうなんだ?微妙だな…中途半端というか…おい、鎌先。これは興奮するとどれだけ体積が変わる?」
「…何見てんだよ。止めろよ」
「なら人の目の前に仁王立ちするな。否応なしに目に入るじゃないか」
顔をしかめる笹谷。
「人の気にするだけあってハンパだなァ。ハンパなヤツに限って他を気にすんだよ。迷惑だからデカイか小さいかハッキリしろ」
さっき男のプライドを好奇の目に晒された茂庭がここぞとばかりに辛辣な事を言う。
「ンだと?おい茂庭。お前ちょ立ってみろ。立って後ろに手を回せ。そこまで言うンならもっかいちゃんと見せてみろ、あ?」
カチンと来た鎌先は、タオルで二人の視線から大事なものを隠しながら眉を吊り上げた。
「止めておけ。こればっかりは鍛えてどうなるものではないからな。資質の問題で競り合うのは不毛だ」
笹谷にたしなめられて鎌先の眉がますます上がる。
「俺の体に鍛えらんねえ場所なんかねえ!」
「ブッ。何でお前…そこは筋肉で出来てねえぞ?」
堪らず噴く茂庭。鎌先はキッとして口をひん曲げた。
「フカシてんじゃねえぞ、茂庭ァ?じゃあ何で出来てるってんだ?あ?」
「海綿体だ」
笹谷が答える。
「筋肉じゃない。血管の集合体で出来てるんだ、それもこれも」
「…血管?ウソだろ?血管って固くなんの?またまた」
「俺のはなるがお前のはならないのか?」
笹谷に気の毒そうに見られて鎌先が耳まで赤くなる。
「なッ、なんに決まってんだろ⁉釘が打てるわ、俺なんか!」
「馬鹿な真似は止せ。無闇に痛めつけていると大事なときに使い物にならなくなるぞ」
「ははは、大丈夫だよな。鎌先に大事なときなんかあと十年は余裕で来ないって」
朗らかに笑った茂庭を鎌先が睨み付けた。
「うるせえ!すぐ来るわ!言ったらもう今すぐにも来るっつうの!バカにすんなテメェ!!」